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2021年ガチのオススメ漫画10選 『ハコヅメ』に『アオアシ』、『スケッチー』 – KAI-YOU.net

いつのまにやら2021年ももう年の瀬。KAI-YOU Medium Tech.ディレクター/漫画コンシェルジュ/ボドゲ研究家として活動する私、コバヤシが、今年完結した作品、連載中の作品を交え、2021年読んでおきたいおススメ漫画10選を紹介します。

目次

今がラストチャンス!『進撃の巨人』(全34巻)

『進撃の巨人』/画像はAmazonから

まず紹介するのは、社会現象を引き起こした『進撃の巨人』。

巨人の恐怖とそれに立ち向かう人類を描いた前半、そして、人種のいさかいや近代戦を描いた後半で、それぞれかなり違った読み味を持ちつつ、共にハイクオリティに仕上がっている大名作です。

原作初期やアニメ1期が放送された時期にブームが起こり、終盤では、物語が佳境に向かうにつれて、掲載誌の『別冊少年マガジン』(講談社)が発売されると毎話感想がトレンド入りを果たすなど話題を集めてきました。

そんな『進撃の巨人』も、2021年6月の最終巻発売をもって原作は完結。そして現在、アニメ『The Final Season』が放送中です。

12年の歴史とブームの中で、「ちょっとだけ読んだことがある」「アニメ1期は見てた」という人は、あの『進撃の巨人』でみんなと盛り上がれる最後のチャンスである今、ぜひ読んでみてほしいです(KAI-YOU編集部が大激論を交わした座談会も)。

今年一番の話題作『ルックバック』(全1巻)

『ルックバック』/画像はAmazonから

2021年に発表された漫画の中で一番話題を集めた作品といえば、やはり藤本タツキさんの『ルックバック』ではないでしょうか。

表情による巧みな心理描写、メタフィクション的な構造を織り交ぜ描かれた、創作によって人が救えないとしても、物語を描き続けるという意志、そしてそれらを裏打ちする演出や画力の高さ。どれをとっても圧巻のクオリティでした。

個人的には、本作の主人公・藤野はKAI-YOU編集部で行われた「藤本タツキ座談会」でも藤本タツキ作品の中で一番好きなキャラクターとして挙げたほど大好きなキャラクターです。

見栄っ張りで嫉妬もする藤野が自分の努力を認められて雨の中を踊る見開きは、初めて読んだときには鳥肌が立ちました。

藤本タツキさんの作品では、2022年には『チェンソーマン』のアニメ化と原作2部の開始が予定されています。

元婦警が描くリアルな警察の日常『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』(既刊19巻)

『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』/画像はAmazonから

婦警として10年間働いた経験を持つ泰三子さんが描く『ハコヅメ』。

実写ドラマが好評だったこともあり、タイトルを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

本作の特色は、なんといっても実際に警察官として働いていた泰さんの経験からくるリアルな警察の日常描写。刑事ドラマなどでは描かれない書類仕事や慣習、無線が飛べばプライベートでも現場に急行しなければならないなど、実感を伴った警官の生活がコミカルに描かれています。

しかし本作はただのコメディ作品ではなく、犯罪描写もまた、実際の経験をもとに描かれています。酔っ払いの対応から交通事故や性犯罪まで、私たちの身近にある犯罪がどう発生し、どう対応されていくのかが、真に迫った警官たちの心情と共に描かれます。

本編に登場した「喧嘩をしてはすぐ警察を呼ぶ迷惑なカップル」に起こったある事件を描くスピンオフ外伝『別章 アンボックス』は、警察という職業の過酷さが特に出ていて、これだけでも読んでほしい一冊。

2022年1月からはアニメも放送されます。それを記念して講談社の漫画アプリ「マガポケ」にて3月まで全話無料キャンペーンも1月5日から行われるのでそちらからでも(マガポケはこちら)。

学ぶことの快楽描く『チ。―地球の運動について―』(既刊6巻)

『チ。―地球の運動について―』/画像はAmazonから

天動説と宗教が主流の時代に、弾圧を受けながらも地動説を信じ、証明しようとする人々を描く大河漫画『チ。―地球の運動について―』。

メディアでの紹介や本屋での平積みも多く、見かけたことがある人も多いはず。

本作の特色は、そのタイトルの使い方と、読者にキャラクターと同じ体験をさせるコマのテンポ造りの巧みさです。

作中の登場人物の多くは、最初から地動説を信じていたわけではなく、みんなが信じる天動説に疑問を抱き、葛藤を抱えながらも、地動説が正しいんじゃないか…?と思えるような出来事を経験していきます。そして、一度知ってしまったらその知識への欲求を止めることはできず、たとえ身を滅ぼしてでも真実を求めていく。

本作は、その過程で様々な知識が結びつき、「そうだったのか!」と気づく瞬間の気持ちよさを巧みに再現しています。

さらに各巻でのタイトル回収も気持ちよく、ストーリーが一番盛り上がるところで「チ」というワードを入れてくれるので、毎巻読み終わると「はやく続きが読みたい~」と悶絶させられてしまいます。

泥臭くてスタイリッシュ!サッカー漫画『アオアシ』(既刊26巻)

『アオアシ』/画像はAmazonから

ユースチームを描いた、アニメ化も決定しているサッカー漫画『アオアシ』。

サッカー漫画というと、個人的には知識不足もあって、戦術といえばフォーメーションくらいで、あとは選手個人の努力とドラマにフィーチャーしている印象があったのですが、本作には個々の試合以外でも「若い世代に戦術を叩き込み、プロフェッショナルを育成する」という物語内の目標があります。

それによって、コーチや監督から子供たちに「なぜその戦術が効果的なのか、それを実行するために何を考え、どんな努力が必要なのか」といった部分が論理的に、わかりやすく説明されます。そういった努力の因数分解があるため、熱く泥臭いドラマとロジカルなスタイリッシュさが同居する絶妙なバランスが成立しています。

さらに、作中で主人公が所属する「東京シティ・エスペリオン」は、プロでも難しいようなテクい戦術を叩き込まれたエリートチーム。

最新刊近辺では、努力が実って自分たちの通したいプレーをどんどん通すことができるようになってきていて、対戦ゲームが好きな人なら味わったことがあるであろう「全ての仕掛けがハマって思い通りにゲームを進める」快感を感じることができるようになっています。

筆者はサッカーファンではなく、知識もないのですが、それでもめちゃくちゃ楽しめている素晴らしいサッカー漫画です。

モヤモヤを忘れさせてくれるカルチャーとの出会い『スケッチー』(既刊4巻)

『スケッチー』/画像はAmazonから

社会で生きる中でそれぞれの悩みを抱えた女性たちがスケートボードと出会い、そのカルチャーに引き込まれていく様を描いた『スケッチー』(Sketchy)。

作中では、3人の女性を中心とした女性スケーターたちの群像劇が描かれていきます。

作者が『いつかティファニーで朝食を』『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』などで知られるマキヒロチさんだけあって、「学生時代からの友達となんとなく趣味が合わない」「こうあるべきと思い込みすぎて周囲にそれを押しつけてしまう」といったリアルな人間関係の描写はあるある度が抜群。

そうしたちょっとモヤモヤする日々の暮らしの中から、スケーターたちが「ただ技を決めるのが楽しい」「映像に残したい」「ファッションやスタイルがカッコイイ」といったそれぞれの楽しみ方を見出し、スケートを共通言語に交流していくことで解放を得ていきます。

交流を深める中でも人間関係は変わっていき、思わぬところで関わりが生まれたり、それで苦しんだりもするんですが、技が決まったり、何かいいことが起きたときの見開きの解放感が印象的な作品です。

既刊も少ないので、年末年始にゆったりと読むのにちょうどいいです。

女性の成り上がりを現代的に描いた『碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語-』(全9巻)

『碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語-』/画像はAmazonから

エジプトに実在した、男装をした女性のファラオ「ハトシェプスト」が王となり、エジプトを治めていくまでが描かれる『碧いホルスの瞳 -男装の女王の物語-』。

本作が素晴らしいのは、歴史的な出来事やエジプトの風習を、現代的なフェミニズムの問題と融和させて描いている点です。

例えば、女性であるハトシェプストが認められるためには、王として並みの男性よりも果敢に戦い、成果を出すことが求められてしまいます。そうした中で苦労を重ねたハトシェプストは、父に憧れていたこともあり、男性社会の男性的な価値観の中で、それを内面化しながら成り上がっていきます。

それは女性が女性らしく力を発揮できる環境とは違い、そういった環境を周囲が求める期待と、(自分が内面化してしまった男性的な)価値観のずれからハトシェプストが苦悩する姿も描かれます。

最近は、ポリティカル・コレクトネスや多様性への配慮によって表現の自由が損なわれるという声を耳にすることもあります。しかし私は、配慮する対象が増えて規制が強くなったように見えても、そういった変化に対応し、新しい潮流を取り込むことで面白い作品は生み出され続けると思っています。

少なくとも、この作品を読んで、フェミニズム的視点を作品に取り込むことで良い作品が生み出されたんだという実例を知ることができました。是非一度読んでみていただきたい一作です。

誠実で素朴な「好き」を描く『東京ヒゴロ』(既刊1巻)

『東京ヒゴロ』/画像はAmazonから

『ピンポン』や『鉄コン筋クリート』で知られる松本大洋さんの最新作『東京ヒゴロ』。30年間出版社に勤めた編集者の主人公・塩沢が自主退職をするところから物語は始まります。

「推し」文化やSNSでの共感の可視化、メディアの持ち上げもあって、「好きの力」が持ち上げられる現代。「好き」は大きな力を生むこともありますが、あくまで個人のエゴでもあります。個人的には、「好き」の暴力的な側面が捨象され、「好きの力」を是とする勢いからはある種のヒステリックな圧すらも感じてしまい、モヤモヤしていた部分もありました。

一方で、『東京ヒゴロ』の主人公・塩沢は、ひたすら誠実に漫画を愛する男です。その漫画との向き合い方は、自身の立ち上げた雑誌が廃刊となってしまったことから、誰に言われるでもなく責任として自主退職をするほどストイックです。

多くを語りすぎず、絵本のように誇張も含み、心情を織り込んだ風景描写もあいまって、読んでいて「ああ、好きとはこんなにも素朴で良いんだ」と当たり前のことを思い起こさせてくれました。

独自すぎる視点『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』(既刊6巻)

『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』/画像はAmazonから

個人的に、今年一番心を動かされたのが、邦画紹介漫画『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』でした。

「映画について語る若人の部活」を舞台に、一般的な映画ファンの部長と後輩の邦吉映子(通称:邦キチ)が邦画を紹介する本作。作中での映画紹介は基本的に、邦キチが部長やその他の登場人物に邦画の面白さをプレゼンする形で進められます。

映画ファンからは低い評価を付けられがちな映画を扱うことも多いのですが、邦画を純粋に面白いと思っている邦キチが独特の視点で「こういうところが面白い!」とプレゼンすることによって、それがギャグでもあり、確かにそう見たら面白いかもしれないと新しい視点を得ることができます。

もう一つ、この作品がすごいのは、紹介する映画のテーマを、同時代性を持って邦キチや部長たちのストーリーで再構成する点です。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開前には、3話にわたり「今一歩恋愛で踏み出せない中年教師・江波」が登場。リアルタイムでエヴァを見てきた世代のリアクションを描きつつ、勇気が出ず、ディスコミュニケーションを繰り返してしまう人間関係を描きました。

さらに、下半期には『花束みたいな恋をした』の回で「エンタメを見て面白い感想を言うことが義務化されてしてしまっていると思い込んでいる大学生・池ちゃん」を描き、公開されるたびに話題を呼びました。

中でも池ちゃんは、「ちょっと鼻につくミーハーなサブカル男子で、カルチャー系エンタメサイトでインターンをしている」という生々しい設定。ポップカルチャーメディアのKAI-YOUにインターンを経て入社した身としては、とても他人事に思うことができず、毎週更新されるたびに「池ちゃん…」と呻いていました。

KAI-YOU Premium公式Discordサーバーに投稿された筆者のうめき声

実写ドラマ化もされた名作が今年完結『大奥』(全19巻)

『大奥』/画像はAmazonから

男のみがかかる謎の疫病・赤面疱瘡によって男性人口が激減し、女性が江戸幕府を運営していく様を描いた『大奥』。

嵐の二宮和也さんらが出演した実写版も人気を博した本作は、今年2月に完結しました。

感染症からの隔離も兼ねて良家の息子などが集められた大奥において、政治や徳川の血を残すために子供を産まなければならないという役割に苦悩する将軍たちと、彼女たちによりそう男たちのロマンスが魅力的な作品でした。

そのうえで、時代に翻弄されるほどの才覚を持った人々や、江戸城で繰り広げられる政治的な駆け引き、疫病の謎を解明すべく命を賭して蘭学を学ぶ学者たちも描かれ、歴史ものとしての面白さも詰まっています。

ロマンスあり、政治ありの一味違った大河物語。

改めてメディアミックスの影響力が上がった2021年

『週刊少年ジャンプ』の『鬼滅の刃』、『呪術廻戦』が引き続き人気を博し、実写映画やアニメ化によって『週刊少年マガジン』の『東京卍リベンジャーズ』が大躍進を遂げた2021年。

『鬼滅の刃』のヒットを受けてか、漫画を原作に、タイミングを合わせて実写化やアニメ化することで知名度ブーストをかけるというメディアミックス戦略を各社が取っているような印象を受けました。

上記以外にも、『名探偵コナン』を軸に『葬送のフリーレン』や『古見さんはコミュ症です』を仕かける『週刊少年サンデー』、『吸血鬼すぐ死ぬ』などメディアミックスを的確に当てる『週刊少年チャンピオン』など、少年誌の勢いはとどまるところを知りません。

改めてメディアミックスの影響力が高まる現在、来年はどんな作品が面白くなるのか、今から楽しみです。

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