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ゲーム「Rocket League」でプロを圧倒した対戦相手、その正体はハッキングされた練習用AIボットだった | WIRED.jp

クルマでサッカーをする人気ゲーム「Rocket League」で「Chicago」というハンドルネームを使うプロプレイヤーのリード・ウィランが、奇妙で厄介な対戦相手に遭遇したのは2023年1月中旬のことだった。

このプレイヤーは一見すると初心者のようで、ロケットエンジンを搭載した乗り物をためらいながら、ぎこちなく動かしていた。ところが、このプレイヤーはボールをボンネットの上に完璧に捉えてバランスをとると、超人的なドリブル技術でゴールに高速で向かったのである。

プレイヤーは明らかにボットであるばかりか、とてつもなくうまかった。「対戦すると非常に困惑します」と、ウィランは語る。「完璧なドリブルは、ほとんどのプレーヤーを圧倒するでしょう」

ゲームの対戦で、このボットに遭遇したRocket Leagueのプロプレイヤーはウィランだけではない。ボットには、まだすべての対戦相手を打ち負かすほどの実力はないが、高度なプレイができる。これを使えば、スキルの低いプレイヤーでもランキングの上位を目指せるのだ。

「Rocket League」は動きが激しく、操作の難しいゲームである。各プレイヤーは、重力と物理法則が「ルディキュラス・モード」に設定されたようなフィールド内で、非現実的でアクロバティックな動きをするクルマを操作する。ゲームの目的は自身の操作するクルマで巨大なボールを対戦相手を避けて相手側のゴールに入れることだが、これにはかなりのスキルと忍耐力が必要だ。

2人のプレイヤーがチームとして協力するモードもある。そこでは大ジャンプや必死の回避をしたり、ときには予期せず衝突したりしながら、対戦相手の行動を予測して対抗するのだ。

「Rocket League」のトッププレイヤーは、クルマを空中に飛ばしてボールをゴールへと運ぶ。これに対して対戦したボットは、地面でボールを運ぶよう特別に訓練されたようだったとウィランは語る。

「ボットはあまり回転しませんし、空中でジャンプすることもありません」と、ウィランは説明する。ボットがそのような動作をプログラミングをされていない、あるいは学習していないことが原因だろう。「代わりにボールが下りてくるのを待って、クルマの上の部分でボールを捉え、相手チームのゴールネットに向かって完璧なドリブルを披露するのです」

強化学習でスキルを習得したボット

ウィランやほかのプレイヤーが対戦したボットは「Nexto」と呼ばれている。このボットは強化学習と呼ばれる人工知能(AI)の手法でドリブルとゴールを決める能力を獲得した。強化学習はコンピューターが囲碁や「スタークラフト」といったほかの難しいゲームの攻略の研究において、ブレークスルーを起こした技術である。

またこの手法は、近年では半導体の設計やデータセンターの冷却など、より実用的な分野にも応用されている。強化学習は基礎的な水準でタスクをこなせるプログラムを作成し、練習しながらフィードバックを得ることでスキルが上達する仕組みだ。

「Rocket League」の運営会社であるエピックゲームズ傘下のPsyonixは、プレイヤーがボットを使って対戦の練習をできるようにしていた。開発者がより簡単にボットを構築できるように同社がアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を公開したのは、2022年のことだ。

また、プログラミングのスキルを持つ「Rocket League」の愛好家のグループは、「Rocket League」用の強化学習ボットを構築できるオープンソースのライブラリ「RLGym」を22年4月に公開している。その後このグループは、Nextoと呼ばれる特にドリブルに秀でたものを含むいくつかのオープンソースのAIボットを公開した。


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