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ゲームから社会のミドルウェアへ:ゲームエンジン「Unity」の目指す先 | WIRED.jp

1980年代のビデオゲームはクラフトマンシップの結晶だった。壁に黄色く染み付いたタバコのヤニの臭いと、数日は帰宅できていない開発者たちが集まる小部屋で、“職人たち”はブラウン管のモニターに向かってカタカタと休みなくキーボードを叩く。

「クリスマスのプレゼントに」と期待に胸を膨らませながら発売を待つ夢のビデオゲームがこんなふうにつくられるなんて、子どもたちは想像もできなかっただろう。しかし、事実として歴史に残る作品はこうした職人たちの情熱によって生まれてきたのだ。

とはいえ、こうしたクラフトマンシップもある種の限界を迎えていた。「テクノロジーの進歩に伴い、ビデオゲーム開発の規模はどんどん拡大していきました。かつて『パックマン』のような傑作が7~8人のクリエイターによってつくられていたのに対し、現代のビデオゲームは数百人ものスタッフを要するものも多くなっています」と、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの日本担当ディレクター、大前広樹は話す。「開発者にとってビデオゲームをつくることのハードルはどんどん高くなっており、ゲームをつくりたいと思ってもそれに求められる技術に追いつけないこともあります」

そこで登場したのが、ビデオゲーム開発においてミドルウェアの役目を果たすゲームエンジンだ。そのなかでもユニティ・テクノロジーズが開発する「Unity」は世界一のシェアを誇っており、同ゲームエンジンで運営または開発されているコンテンツの月間アクティブユーザー数は、2021年には28億人を超えた。

さらに近年は、建設や医療、エンターテインメントといったゲーム以外の業界でのUnityの利用も増えてきている。この状況を踏まえ、ユニティ・テクノロジーズではゲームエンジンを「リアルタイム3D開発プラットフォーム」と定義し直した。

では、ゲームエンジンはなぜゲーム以外の業界で利用されるようになったのだろうか? そして、それが可能にする未来とは? ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの大前と、同社のプロジェクトマネジャーを務める高橋忍に訊いた。

3Dデータを無駄なく利用できる

──「Unity」はゲームエンジンであると同時に「リアルタイム3D開発プラットフォーム」とも定義されていますが、これにはどういう意図があるのでしょうか?

高橋忍(以下、高橋) Unityがゲームエンジンであること、つまりゲームを開発するミドルウェアであることはいまも変わりません。実際、世界のビデオゲームの50%以上がUnityによって開発されています。しかし、ゲームエンジンの本質はただゲームを開発するだけではありません。その強みはインタラクティブな3Dモデル、環境、そして仮想世界全体を、瞬時にデジタルでレンダリングできる点にあり、こうした本質からわたしたちはUnityを「リアルタイム3D開発プラットフォーム」と定義しています。

──リアルタイムに3Dデータで開発できるプラットフォームが、現代ではビデオゲーム以外の産業でも求められるようになったというわけですね。

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