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セガの新たな挑戦「SuperGame」をマイクロソフトはどのように支えるのか? – GAME Watch

 突然だが、セガが掲げている新たなゲームのコンセプト「SuperGame」をご存知だろうか?

 「SuperGame」は、「グローバル」、「オンライン」、「コミュニティ」、「IP活用」をキーワードとする新たなゲームの世界観。具体的な内容は明らかにされていないが、2026年の発売を目指して開発中となっている。

 この「SuperGame」に関して、2021年11月にマイクロソフトとの「戦略的提携の検討」が発表されている。マイクロソフトはクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を有しており、セガの次世代開発環境の構築を含めた形でのアライアンスが検討されており、プロジェクトが進められている。

 では、一体どのような検討が進められているのだろうか? 今回、セガ 取締役副社長の内海州史氏とセガ上席執行役員の瀬川隆哉氏、そして日本マイクロソフト ゲーム&エンターテイメント営業本部本部長の米倉規通氏の3名に話を伺うことができた。

セガ 取締役副社⻑ ゲームコンテンツ&サービス事業本部⻑兼編成局⻑の内海州史⽒

セガ上席執⾏役員でセガ札幌スタジオ代表取締役社⻑でもある瀬川隆哉⽒

日本マイクロソフト ゲーム&エンターテイメント営業本部本部長の米倉規通氏

「SuperGame」は公園。砂場での作品がセガのコンテンツとつながるイメージ

 まず「SuperGame」とはどのようなゲームの世界観なのだろうか? 具体的なことはまだ明かせる段階ではないものの、イメージで言えばそれはプラットフォームに近い、公園のようなものだという。ゲームプレイに熱中できるのはもちろん、その外側にも世界が広がっていて、コミュニケーションしながらプレーヤー同士でものを作ったり楽しんだり、コンテンツを強化していくような内容を目指している。

 「公園に例えれば、そこにはいろいろな遊具があると思います。たとえば砂場があったとすれば、砂で何か自分の気に入ったものをつくることができる。いままでだったらそこで終わりだったのですが、『SuperGame』では今度は砂場の外にものを持ち出すことができます。そして、持ち出したものをセガの様々なコンテンツとつなげることで、また新しい何かを生んでいく。そうした公園のように広がっていく世界を『SuperGame』では実現したいと考えています」(瀬川氏)

 瀬川氏といえば、オンラインRPG「ファンタシースターオンライン2」(PSO2)の事業責任者など、長くセガのオンラインゲーム事業に携わってきた経歴がある。そうした経験を踏まえた上で、ゲームという世界観の中で閉じこもるのではなく、ゲームを起点としてさらに広がっていく世界観をつくっていきたいとするのが「SuperGame」が目指す狙いだ。

 では、セガの「SuperGame」にマイクロソフトはどのように関わっているのだろか?

 ゲームファンがマイクロソフトと聞くとXboxのイメージが強いが、そもそもマイクロソフトにはAzureと呼ばれるクラウドサービスがあり、Windowsがあり、Office製品、GitHubやVisual Studioなどの開発ソフトウェア、セキュリティ製品なども充実している。ゲーム開発といったひとつの側面だけでなく、企業ITインフラ全体を支えることができる会社と言える。

 言ってみれば、セガが新しいエンターテイメントの形としての「公園」を作ろうとしているのに対し、マイクロソフトはそうした公園自体をも内包した「街づくり」を古くから支えてきた会社であると言えるだろう。マイクロソフトの持つ豊富なノウハウやツールの提供を受けることで、セガとしてより良い環境で効率的に開発を進めたい、としたのが先に発表された「戦略的提携の検討」というわけだ。

 特にマイクロソフトのサポートを受けたい分野として「セキュリティ分野があります」と瀬川氏は語る。「ネットワークが必須のゲーム環境に移り変わってきた中で、特に重要になってきたのが、ユーザーが“いかに安全に遊べるか”ということです。例えば、なりすましやチートなどへの対策もそのひとつであると言えます。これまで私たちはユーザーを“どれだけ楽しませるか”に注力し、得意分野としてきました。もちろん我々もユーザーの皆さんをいかにして守ることができるかについて学習もしてきましたが、タイトルの規模が大きくなるにつれて、自分たちだけでは賄いきれない部分も出てきました。そうなってくると、ここから先はきっと私たち以上の知見やノウハウを持っているパートナーと組むのが良いだろうと。つまり、例えばマイクロソフトのようなテックジャイアントから、特にセキュリティ面を学びたいなと考えています」。

 また「SuperGame」以外の面でも開発環境の改善につながる箇所は多くあると内海氏は言う。たとえば、セガはアメリカやヨーロッパなど、世界各地にグループ会社や拠点があるが、各拠点にマイクロソフトの製品やサービスが使われていても、それぞれがうまく連携されていなかったりする。つまり、ここに今回のアライアンスの検討を受けてマイクロソフトによるサポートが入れば、それだけでも業務の効率化を図れる可能性がある。

 あるいはコミュニケーション環境についても同じだ。以前は国によってゲームの発売日などのスケジュールがバラバラであったが、今は世界で同時にものごとを進めることが当たり前な時代になってきた。コロナ禍も後押しし、グローバルレベルでのスタッフ間におけるコミュニケーションの機会は飛躍的に増えている状況がある。「今は日本のスタッフは、朝はアメリカのメンバーと、夕方になるとヨーロッパのメンバーとミーティングをしています。こうなると、何か一貫したコミュニケーションインフラが必要なのではとも思えてきます」(内海氏)。

 ほかにも、流通の変化への対応も迫られている。従前のパッケージが主流だった販売方法だと大手の流通会社が仕切っていたため、いかにしてリテールの限られた棚のスペースの中で存在感を増すことができるかが重要だった。しかし、デジタルダウンロードがどんどん一般化してきたことで、ニッチなタイトルであったとしても、今は世界のどこにでも届けられるようになってきた。これに加えて、ユーザー間でのコミュニティを形成・活性化することができれば、グローバルでも十分に勝負することができる商材になり得る。「これは実はかなりすごいことです。流通の変化を踏まえると、ユーザーとのコネクションにも何かしかけをしたい。直接的に開発に関わる部分でも、それ以外の部分でも、改善すべきところはまだまだあるなと感じています」(内海氏)。

ゲーマー40億人時代に向けてデベロッパーを全面サポート

 一方のマイクロソフトとしても、セガなど底力のあるデベロッパーを支えることには大きな意義がある。というのもマイクロソフトの方針には、インターネットに接続するすべてのユーザーがゲームをプレイする環境を
サポートしたい、とするものがある。

 これは、世界の人口が約80億人いて、その中の40億人がインターネットユーザー。さらにその半分の20億人がゲームユーザーで、残りの20億人も今後はゲームユーザーになっていくであろうという予測が元となっている。マイクロソフトがあらゆる面でゲームデベロッパーをサポートすることで、結果的にマイクロソフトのゲーム市場に対する存在感は大きくなる。Xboxではサブスクリプションサービスの「Xbox Game Pass」やクラウドゲームサービス「Xbox Cloud Gaming」など、市場の変化に合わせた独自サービスを提供している。こうしたXboxとはまた違った切り口でも、マイクロソフトはゲームに対して本気ということだ。

 米倉氏は、内海氏と瀬川氏の話を受け、「時代の変化に合わせて対応を迫られているという問題は、他の開発会社も抱えていらっしゃると思います」と話す。「本来ならゲームのクオリティアップに集中したいのに、インフラの整備やセキュリティの構築が必要だったり、海外とのシームレスなコミュニケーションが必須だったり、そうしないと生産性が上がらない。それで困ってるんだよね、という会社は多いのかなと。私たちマイクロソフトは、全方位でゲーム会社様を支援できると自負しております。もっと積極的にゲーム会社をサポートさせていただくことで、ゲーム開発のより良い形を探っていく段階にあるのではないかなと考えています」。

 なお、米倉氏と瀬川氏がいま注目しているのは、クラウドゲームサービスの進化だ。米倉氏は、「SuperGame」やメタバース概念のような、CGで作られた仮想空間でコミュニケーションを取ろうとする際に、クラウド上のGPUVMからのストリーミングサービスの普及が必須と感じており、今後準備すべきインフラとして注目しているという。

 また瀬川氏は、クラウドゲームが進化することで、各プラットフォームにある基準をそこまで気にせずに開発が進められると話した。加えて不正行為の多くはクライアントを狙うことが多く、それを防ぐためにAIを入れているが、クラウドゲームであればそもそも不正行為をされることはない。今後、通信料が下がったりインフラが整うことで、今後のゲーム作りにあらゆるメリットがあのとのこと。

 「SuperGame」の発売予定は2026年とまだまだ先だが、セガの挑戦的戦略には、マイクロソフトのサポートがあるところが特徴的だ。今後の情報公開に期待したい。


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