日本でのゲーム

【動画】過熱するeスポーツ人気 プロゲーマー専門学校、東北に続々誕生 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS

 コンピューターゲームの技を競う「eスポーツ」。憧れのプロ選手を育成する専門学校が東北で次々と生まれている。2019年の仙台市を皮切りに、翌20年青森市に登場。今年4月には仙台市に2校目、福島県郡山市でも開講する。若者たちは高額賞金を稼ぐトップゲーマーを夢見て、日々トレーニングに励んでいる。(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)

ゲーム実習に取り組む生徒=2022年1月18日、仙台市若林区の仙台デザイン&テクノロジー専門学校

授業の6割がゲーム実習

 目つき鋭く、集中モードに入っている。右手でマウスをシュッと滑らせ、左手でキーボードを連打。画面の奥にキャラクターの視点で仮想空間が広がる。「行こう、行こう」「あー、怖かった」「ごめーん」。打鍵音に交じり、ヘッドセットを通した仲間とのやりとりや独り言が響く。

 仙台デザイン&テクノロジー専門学校(仙台市若林区)eスポーツプロゲーマー専攻の授業の一こまだ。在籍する1~3年の77人のうち女子は3人。宮城県内を中心に東北出身者が大半を占める。専用教室には40万円相当の高性能マシン60台が並ぶ。

 eスポーツで採用されるゲームは「格闘」「スポーツ」「パズル」などおおまかに7分野。「シューティング」の一種で、世界的に人気のバトルロイヤルゲームは3人一組の20チーム、60人が同時対戦する。銃火器を撃ち合って敵を倒し、最後まで残ったチームが勝利となる。操作技術だけでなく、チームワークや戦略性も求められる。

 授業の6割は実習に充てられる。プロゲーマーの講師が一緒にプレーし、遠隔で指導。反射神経や動体視力を鍛えるフィジカルトレーニング、試合で実力を発揮するためのメンタルトレーニングにも力を入れる。渡辺康祐教務部長(45)は「しっかり学べば、プロになるスキルは身に付く」とアピールする。

プレーを振り返り、戦術を話し合う生徒

市場規模、24年に16億ドル

 世界中で過熱するeスポーツ人気。オランダの分析会社Newzooの推計によると、市場規模は21年に10億ドルを突破し、24年には16億ドル以上になる。

 日本は家庭用ゲーム機が中心で、パソコンゲームのユーザーが少なく、後れを取っていた。ゲーム情報誌のファミ通によると、市場規模は約67億円(20年)。今後は年平均約30%の成長を予測し、24年には180億円に達すると見込む。

 環境整備が進み、認知度は高まっている。18年、ゲームソフトメーカーなどでつくる振興団体の日本eスポーツ連合(東京、JeSU)が発足し、プロライセンス制度を導入した。高校生の全国選手権も始まり、昨年12月の第4回大会は368校772チームが参加登録した。

 eスポーツが若者の心をつかんでいることを示すランキングがある。ソニー生命保険(東京)が昨年7月に公表した「中高生が思い描く将来についての意識調査」によると、男子中学生が将来なりたい職業は「ユーチューバー」に次いで「プロeスポーツプレーヤー」が2位に入った。5位はプレー動画をネット配信する「ゲーム実況者」だった。

高性能マシンがずらりと並ぶeスポーツ専用教室

トッププロの年収1500万円

 若者を引きつける要因の一つは収入の高さ。世界では賞金総額数十億円規模の大会が開かれ、トップ選手は年収5億円を超えるとされる。日本esports促進協会(東京、JEF)監修の解説書「60分でわかる! eスポーツ最前線」(鴨志田由貴ら著)によると、国内のあるプロリーグに参加するチームの主力選手は年収約1500万円という。

 プロ選手は平均500万~600万円、少なくとも200万~300万円の契約金を得ている。これと別に動画配信、グッズ販売などの収入もある。

 注意が必要なのは、チームに所属できるのは各種大会で際立った成績を残した一握りの選手だけである点だ。同書は「専業で食べていけるお金を生み出せていない選手がほとんどというのが実態」と指摘する。

 生徒の一人、仙台市出身の高橋辰彦さん(23)は開講をきっかけに映像放送系の専門学校から転入した。多い日は6時間の睡眠以外の全てを練習に充てるなど努力を重ねて3年。3月に迎える卒業後は晴れてプロゲーマー、ではなくネット関連企業に就職する。

 「働きながら夢を追い続けたい」と高橋さん。一方で「プロになるような人はプロを目指すのではなく、その先、世界で活躍する姿を目指していた。本気で取り組んだからこそ分かった」と見定める。

 ゲームに打ち込んだ学校生活に後悔はないという。「人見知りだったが、気付いたら苦手意識がなくなっていた。ロジカルな考えができるようになり、ゲームをより深く楽しめるようになった」と笑顔を見せる。

 渡辺部長は「大きな大会で優勝する選手を輩出するのは一つの目標だが、それが全てではない。eスポーツを通じて自立成長を促し、ゲーム業界などに貢献する人材を送り出すことが使命だ」と強調する。

プロゲーマー育成専門学校に潜入

[東北のプロゲーマー専門学校]
▽仙台デザイン&テクノロジー専門学校(仙台市)
e-sportsプロゲーマー専攻(2019年~、3年制、約120万円)滋慶学園グループの姉妹8校(22年から9校)と連携する。

▽あおもりコンピュータ・カレッジ(青森市)
esportsクリエイト専攻(20年~、2年制、約90万円)青森市や青森商工会議所などが出資する青森情報処理開発財団が運営する。

▽国際アート&デザイン大学校(郡山市)
eスポーツマスター科(22年~、3年制、約140万円)20年にできたeスポーツ科(2年制)から分科した。

▽ヒューマンアカデミー仙台校(仙台市)
プロプレーヤー専攻(22年~、1年制、約140万円)1年間でプロになるかどうか「白黒つける」のが特徴だという。

〔※注〕学校名(所在地)
コース名(開設年、修業年、初年度授業料等)の順

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